超伝导の効果を妨げる磁性を排除した高温超伝导状态を観测 高温超伝导の物理の根干に见直しを迫る


今回新たに施した还元アニール処理による电子状态の変化
(上)还元アニール処理を行う前の试料のフェルミ面(电子の等エネルギー面)(左)と矢印に沿ったバンド分散(右)。反强磁性に起因して电子状态の存在しないエネルギー领域(バンドギャップ)が生じている。(下)还元アニールを施した试料のフェルミ面(左)と矢印に沿ったバンド分散(右)。バンドギャップが消失し、反强磁性の効果が排除されている。
© 2016 Masafumi Horio.
东京大学大学院理学系研究科物理学専攻の藤森淳教授と堀尾眞史大学院生らを中心とする研究グループは、不纯物となる酸素を取り除くための処理を施すことにより、铜酸化物高温超伝导体から磁性を排除し、これまで考えられていたよりも広い电子浓度领域で、かつより高い温度でも生じることを明らかにしました。
电気エネルギーが热エネルギーとして失われることなく物质中を流れる现象があります。これを超伝导と呼び、私たちの身の回りではリニアモーターカー、磁気共鸣イメージング装置等に用いられています。超伝导を示す物质には、铜酸化物高温超伝导体と呼ばれる物质群があります。これらの物质は超伝导现象を示すものの超伝导现象の発生のさせ方によってその性质が异なります。具体的には、电気を全く通さない絶縁体の物质に负の电荷をもつ电子を加えて超伝导を発生させるか、あるいは、正の电荷をもつ正孔を加えて超伝导が発生させるかによって异なります。特に、电子を加えて超伝导を発生させた场合には、不纯物となる酸素が超伝导体の结晶に取り込まれやすいため、反强磁性と呼ばれる、超伝导を妨げる磁性の一种を安定させると考えられてきました。
今回、研究グループは、电子を加えて铜酸化物高温超伝导体を作り出す方法に还元アニール処理と呼ばれる、不纯物の酸素を取り除くための热処理を施しました。そして、このような方法で作られた铜酸化物高温超伝导体の电子状态を直接観测しました。その结果、十分な还元アニール処理を施すことによって反强磁性が排除され、より安定した高温超伝导状态が広い电子浓度领域で実现されること、また、従来よりも高い温度で超伝导状态を示すことがわかりました。
「今回の成果は、不纯物によって诱起された反强磁性が超伝导に与える影响について、これまでの物理学の根干部分の认识を覆し、実験的?理论的な再検讨を促すものです」と藤森教授は话します。「铜酸化物高温超伝导体が発见されて以来30年以上も経ちました。しかし、高温超伝导が発现する机构は未だにわかっていません。今回の成果が、高温超伝导発现机构の研究を新しい方向に导く可能性が期待されます」と続けます。
なお、本研究は上智大学理工学部机能创造理工学科の足立匡准教授、东北大学大学院工学研究科応用物理学専攻の小池洋二教授と高エネルギー加速器研究机构(碍贰碍)とともに行いました。
论文情报
Suppression of the antiferromagnetic pseudogap in the electron-doped high-temperature superconductor by protect annealing", Nature Communications Online Edition: 2016/02/04 (Japan time), doi:10.1038/ncomms10567.
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