食道癌を简便に诊断できる蛍光试薬を开発 食道癌で活性が高まっている特定の酵素を発见


蛍光试薬を用いた癌の検出
肉眼では、癌の范囲は不明瞭です(左図)。ルゴールという特别な色素をスプレーすると、癌のない部分は茶色く染まりますが、癌の部分は染まりません(左から2番目)。临床の现场ではこの色素を使って癌をみつけています。ただし、この色素は刺激性が非常に强く、苦痛を伴う検査になってしまいます。一方、蛍光试薬を散布した10分后の画像(右から2番目と右図)では、はっきりと緑色の蛍光が得られます。この蛍光试薬はルゴールとは异なり、刺激性をほとんどもたないため、苦痛のない検査が受けられます。
© 2016 小野山 温那
东京大学大学院薬学系研究科?医学系研究科の浦野泰照教授らの研究グループは、食道癌にスプレーすると数分で蛍光を発する试薬を开発しました。本试薬は、通常の内视镜検査では発见が难しい早期食道癌の新たな诊断技术として期待されます。
研究グループはこれまで、癌细胞で活性が上がっている特定の酵素の働きによって蛍光性へと変化する试薬を开発し、人工的に癌细胞を移植した动物にスプレーすることにより、本试薬が机能することを証明してきました。しかし、ヒトの癌の性质は极めて多様であり、実际のヒトの组织で本当に効くるかどうかはわかっていませんでした。
加えて、食道癌は他の消化管癌と比较すると进行がはやく、治りにくい癌ですが、早期に発见できれば良好な治疗成绩が得られています。しかし通常の内视镜観察では早期発见が困难な场合が多いため、食道癌を迅速かつ的确に検出する新たな手法の开発が强く望まれています。
そこで、今回、研究グループは、東京大学大学院医学系研究科消化管外科学の瀬戸泰之教授らと共同して、食道扁平上皮癌に対して有用な蛍光試薬を開発しました。まず、さまざまな酵素を標的とした蛍光試薬のライブラリーを作製し、内視鏡検査の際に採取した、患者の組織の一部を用いて試薬の効果を確認したところ、DPP-IV 活性検出プローブが癌部位においてのみ蛍光を発することを明らかにしました。そこで本プローブを、ヒトの外科手術において摘出した組織や内視鏡治療において摘出した組織にスプレーしたところ、わずか数分で食道癌の患部のみを光らせ、周囲の正常組織と識別できることを明らかにしました。
本手法の活用によって、これまで発见が困难であった早期食道癌の诊断率向上が期待できます。さらに、正确な范囲诊断ができるようになることで、より根治性の高い内视镜治疗が期待できます。また现时点では、外科手术の际に、癌が取りきれたかどうかを评価する方法はありませんが、本プローブが手术中に使用できれば、癌の遗残を评価する新たな诊断モダリティとして世界で初めての技术となる可能性があります。
现在、本蛍光试薬の临床医薬品としての市贩を目指し、プローブの有用性をさらに多数の症例で実証するとともに、体内での使用を目指して、东京大学エッジキャピタル(鲍罢贰颁)からの投资を受けた五稜化薬株式会社と共同で临床试験の适用に向けた準备を进めています。
「有机小分子蛍光プローブを用いて、癌を光らせるということが可能であったという结果は非常に価値があると考えています」と浦野教授は话します。また、瀬戸教授は、「癌がみえるという技术は、临床の场においても非常に重要であり、新たな医疗技术への応用の可能性が拓けます」と期待を寄せています。
论文情报
Rapid and sensitive detection of early esophageal squamous cell carcinoma with fluorescence probe targeting dipeptidylpeptidase IV", Scientific Reports Online Edition: 2016/06/01 (Japan time), doi:10.1038/srep26399.
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