巨大陨石の衝突が引き起こした海洋生物の大絶灭 约2亿年前の陨石衝突による絶灭の証拠を発见


陨石の衝突によって海洋生态系が変化する様子を表した説明図
2亿1500万年前の陨石の衝突に伴って、放散虫群集が絶灭する。衝突から约30万年后に新しい种类の放散虫群集が出现する。
© 2016 尾上 哲治
东京大学大学院工学系研究科の加藤泰浩教授らの研究グループは、今から约2亿1500万年前の叁畳纪后期という时代に巨大な陨石が地球に衝突し、海洋生物の大规模な絶灭を引き起こしたことを、世界で初めて明らかにしました。
2013年、岐阜県坂祝(さかほぎ)町の木曽川沿いに露出するチャートと呼ばれる岩石に挟まれた粘土岩から、約2億1500万年前に直径3.3~7.8 kmの巨大隕石が地球に衝突した証拠が発見されました。しかし、落下した隕石が当時生息していた海洋生物の絶滅を引き起こしたかなど、地球環境への影響の実態は分かっていませんでした。
本研究グループは、岐阜県坂祝町にみられる叁畳纪后期のチャート層から産出する、放散虫やコノドントと呼ばれる当時の海洋生物の化石を用いて、これらの生物の絶滅パターンを調べると共に、チャート層の化学分析を行いました。その結果、(1) 陨石衝突の直後に、非常に高い割合で放散虫やコノドントが絶滅していること、(2) 海洋の食物連鎖の基底をなす植物プランクトンの生産量が、陨石衝突後の数万年間にわたり著しく低下し、それに伴い放散虫の生産量も低下したこと、(3) 植物プランクトンの生産量が回復した後、隕石の衝突以前は存在しなかった新たな放散虫群集が出現し、衝突以前に生息していた古い放散虫群集の多くが絶滅へと追いやられたこと、を明らかにしました。
これまで、陨石の衝突が大量絶灭を引き起こした証拠は、恐竜の絶灭で有名な6600万年前の地层からしか见つかっていませんでした。しかし研究グループは、それよりも遥か昔、2亿1500万年前に起きた陨石の衝突が当时の海洋生态系の崩壊をもたらし、放散虫やコノドントの絶灭を引き起こしたことを明らかにしました。今后、研究グループは、この陨石衝突が地球生命に与えた影响について、当时陆上に生息していた哺乳类型爬虫类や恐竜も含めた地球规模での検讨を目指します。また同时に、陨石衝突が地球环境に与えた影响、例えば寒冷化や酸性雨など、についても研究を进めていく予定です。
「恐竜の絶灭で有名な白亜纪末以外にも巨大な陨石の衝突が大量絶灭を引き起こしていた証拠を史上初めて示した、画期的な事例です」と加藤教授は话します。「过去の地球で、どのようにして絶灭が起こったのかを解明することは、将来起こりえる地球の环境の変化が生态系に与える影响を予测するための重要な手がかりを与えてくれるでしょう」と続けます。
本成果は、熊本大学大学院先端科学研究部の尾上哲治准教授を中心として、国立研究开発法人海洋研究开発机构、高知大学、新潟大学、千叶工业大学と共同で行われた研究によるものです。
论文情报
Bolide impact triggered the Late Triassic extinction event in equatorial Panthalassa", Scientific Reports Online Edition: 2016/07/08 (Japan time), doi:10.1038/srep29609.
论文へのリンク()