福岛から首都圏へ放射性物质を运んだ风 放射性物质の输送と夜间の局地风の関係


放射性物质が首都圏へ风に乗って运ばれる様子(イメージ図)
図の白色部が放射性物质の拡散分布を示しています。朝方、局所的に吹く下层の北东风に伴い、関东东部沿岸から首都圏に流れ込む放射性物质の様子が确认できます。図は、2011年3月15日午前6时の放射性物质の移动の様子をコンピュータシミュレーションで再现したもの。当日は首都圏でも多くの観测点で高い空间线量が観测されました。
© 2016 吉兼 隆生
東京大学生产技术研究所の吉兼隆生特任講師と芳村圭准教授らの研究グループは、福岛第一原発事故によって放出された放射性物質が福島から首都圏へ運ばれた背景には、夜間に吹く局地的な風が深くかかわっていたことを、観測データ解析とコンピュータシミュレーションにより解明しました。
2011年3月の福岛第一原発事故で放出された放射性物质が、200办尘以上离れた首都圏で复数回観测されました。しかし、放射性物质がどのように福岛県から首都圏まで运ばれてきたのか、その大気中のメカニズムは不明でした。
研究グループは、放射性物质が大気の不规则な动きによって偶然运ばれたのか、あるいは大気の规则的な动き(メカニズム)によって运ばれたのかを明らかにするため、観测データ解析とコンピュータシミュレーション(セミラグラジアン输送モデルを使用)により、调べました。その结果、シベリア寒気団による北西方向からの强い季节风や低気圧の影响が小さい日の夜间に吹く二つの局地风系、つまり福岛冲から関东东部冲の海上の北风と、関东周辺で夜间に発达する数百キロの水平规模のメソ低気圧に伴う北东局地风が、放射性物质の输送に関係することを示しました。さらに、南北の温度差によって生じる重力流(軽い暖気が上层に、重い寒気が下层に向かう流れ)が、局地风系形成の主要因であることも明らかにしました。
放射性物质が局地风系に伴い移动するということは、放射性物质が原子力発电所から长い期间にわたって放出された场合に、远く离れた地域へも高い频度で放射性物质が运ばれ、高い浓度の放射性物质に汚染されるリスクが高いことを意味します。一方で、局地风の周期性により、放射性物质がいつ、どこに、どのように运ばれるのかを大まかに予测することが可能です。今回の知见は、被曝を避けるための屋内退避の时间を検讨する际にも役立つと期待されます。
「想定外の事态であっても、冷静かつ迅速に対処できるよう危机管理の强化が求められています」と吉兼特任讲师は説明します。「実际の避难では、地理的特性や交通事情などの地域特有の问题を考虑する必要があるので、今后は、他分野や行政、地方自治体関係者の方々と连携し、研究をさらに発展させ、危机管理の强化に贡献できれば」と続けます。
本研究は文部科学省委託事業戦略的創造研究推進事業 (JST/CREST) 、研究領域「持続可能な水利用を実現する革新的な技術とシステム」、研究課題「安全で持続可能な水利用のための放射性物質移流拡散シミュレータの開発」の支援を受けて行われたものです。
论文情报
Long-distance transport of radioactive plume by nocturnal local winds", Scientific Reports Online Edition: 2016/11/16 (Japan time), doi:10.1038/srep36584.
论文へのリンク(、)