ひょうたん岛通信 第11回「大槌湾をブイで测る」ほか


ひょうたん岛通信 第11回
岩手県大槌町の大気海洋研究所附属国际沿岸海洋研究センターのすぐ目の前に、蓬莱(ほうらい)岛という小さな岛があります。井上ひさしの人形剧「ひょっこりひょうたん岛」のモデルともされるこの岛は、「ひょうたん岛」の爱称で大槌町の人々に亲しまれてきました。ひょうたん岛から毎月、沿岸センターと大槌町の復兴の様子をお届けします。
「ひょうたん岛通信 第11回」は、东京大学学内広报NO.1433 (2012.12.17)に掲載されたものです。
大槌湾をブイで测る
小松 幸生(新領域創成科学研究科 准教授)
海洋観测の主体は昔も今も船舶観测であることに変わりはありませんが、近年の情报?通信技术の进展のおかげで、陆にいながら、荒天时でも海洋観测ができるようになってきました。
2012年10月3日、岩手県大槌湾の南部に突き出た長埼という岬から真北に100mほど離れた水深40mの海上に、海洋観測ブイ2基を設置しました。一つは、ケーブルの先端に水質センサーを取り付けて小型ウィンチでセンサーを自動的に昇降させ、海面から海底付近までの水質(水温、塩分、溶存酸素濃度、濁度、クロロフィル濃度他)の深さ方向の分布を連続的に計測する「水質プロファイリングブイ」です。もう一つは、GPSにより波高、波周期、波向を連続的に計測する「波浪ブイ」で、このブイには超音波風速計を搭載して海上風も計測しています。いずれのブイも近年開発されたばかりの最新の機器で、電源はすべて太陽電池でまかなっており、計測したデータを携帯電話と人工衛星経由でリアルタイムに送信しています。
これらのブイを用いた大槌湾の観測は、文部科学省の「東北マリンサイエンス拠点形成事業」の中で大気海洋研究所が実施している課題「」の一环として行っているもので、湾内には他にも流速计やリン酸计が数か所に设置されています。课题では、このように湾内の海洋环境を连続的に计测することにより、湾内と外洋との间の海水交换の実态や水质および栄养塩环境の変动メカニズムを解明し、养殖业をはじめとする周辺海域の渔业再生に有効な科学的知见の提供を目指しています。
ブイを設置した場所は、釜石東部漁業協同組合が管理するワカメとホタテガイの養殖施設に隣接しており、ブイの設置にあたっては、現場での設置位置の確定作業に同漁協の理事長自ら参加して陣頭指揮をとっていただくなど、同漁協には大変お世話になりました。他にも新おおつち漁協、岩手県水産技術センター、釜石海上保安部にご協力をいただき、また、大気海洋研究所附属国際沿岸海洋研究センターのサポートを得ました。
大槌湾に係留设置した水质プロファイリングブイ。ブイで计测しているデータは同时に设置した波浪ブイのデータとあわせてインターネットでリアルタイムに公开する予定。
【かわべコラム】
大槌の未来―Beautiful Boy (Darling Boy)―
国际沿岸海洋研究センター専门职员?川辺幸一です。2月から大槌町勤务に戻りました。釜石市から提供を受けた仮设住宅に住み、そこから大槌町中央公民馆内にある復兴準备室に通勤しています。
沿岸センターでは「ひょうたん岛通信」第5回でもご绍介した大槌町立小?中学校の仮设校舎に通う小学6年生からの依頼を受け、11月13日に出前授业を行いました。
今回は大竹二雄センター長と福田秀樹助教が「海の色のはなし」「サケについて」というテーマで話し、小学生の皆さんからは多くの質問も飛び出す活気ある授業となりました。小学校の担当の先生からは「これからも出前授業を続けて下さい」との言葉をいただきました。出前授業は震災前よりセンターの地域貢献の一環として行われてきたもので、今後も引き続き行っていく予定です。
震灾以降、海を见ることを嫌がる生徒さんもいると闻きます。これをきっかけにもう一度大槌の豊かな海の素晴らしさを少しでも思い出してもらえたらと思います。
大竹センター长の话に热心に闻き入る小学生たち
「ひょうたん岛通信」第11回
制作: 広报室
掲载: 东京大学学内広报 NO.1433 (2012.12.17)
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